研究内容

ナノビルディングブロックを用いた規則的なメソポーラス構造の構築

メソスケール(2–50 nm)の細孔が規則的に並んだ材料は一般に、分子・イオン性前駆体を出発原料として、界面活性剤やブロック共重合体を鋳型として作製されます。これに対して、シングルナノスケール(< 10 nm)の粒子(ここではナノビルディングブロック)を分子・イオン性前駆体に代わって出発原料とするメソポーラス材料の作製法が開発されました。粒子を出発原料とすることで、従来は困難であった結晶性とメソ多孔性を両立した材料が得られます。私たちは、世界で初めて層状水酸化物をシングルナノスケールで合成する手法を見出し、さらにそれらを用いたメソポーラス構造の構築を報告しています。さらに、ナノビルディングブロックと鋳型とのサイズ差が規則的なメソポーラス構造形成に与える影響や、メソ細孔を導入することによる層状水酸化物材料の機能向上について研究しています。


Nanoscale 2021; J. Phys. Chem. B 2021; J. Sol-Gel Sci. Technol. 2019; Chem. Mater. 2019; Chem. Mater. 2016

高機能なナノ粒子の開発

一般にナノ粒子は比表面積が大きいため、表面の機能を活用した応用に利点があり、様々検討されています。例えば、層状水酸化物はその表面で電気化学活性や触媒活性を示すため、ナノ粒子化することでこれら機能を最大限に引き出すことができます。私たちは、NiやCoなどの遷移金属からなる層状水酸化物をナノ粒子化することで電気化学応答が変化することや活性・分離性に優れた不均一触媒として活用できることを見出しています。


Colloids Surf. A 2021; Sci. Rep. 2021; J. Mater. Chem. A 2019.; ACS Nano 2016

ナノ材料の集合挙動を制御したメソ・マクロポーラスモノリスの合成

ナノ材料はバルク材料では見られない魅力的な機能性を示しますが、直接ハンドリングすることは難しいです。そこで、ナノ材料の機能を保持しつつ、手で持つことができる大きさまでスケールアップした材料が望まれます。ポーラス構造を持ったモノリスは、ナノ材料の機能を発揮させかつハンドリング可能であるため理想的な設計の一つです。我々は、材料同士の相互作用制御や有機修飾剤を活用することで水酸化物を主としたナノ材料の集合挙動を制御し、メソスケールからマクロスケールまで広くポーラス構造が構築可能な手法を開発しました。

Langmuir 2021; Langmuir 2016; RSC Adv. 2015; RSC Adv. 2014; J. Mater. Chem. A 2013